今回は自筆証書遺言の検認について説明していきます。
「検認」って何?となる方が多いかなと思います。
聞きなれない言葉ですよね。
少し難しい言葉で言うと、家庭裁判所での一種の証拠保全手続きになります。
どんな時に必要になるのか?
必要な書類は何か?
など説明していきたいと思います。
遺言の方式
遺言には普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。
普通方式の遺言
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
特別方式の遺言
・死亡危急者遺言
・伝染病隔離者の遺言
・在船者の遺言
・船舶遭難者の遺言
上記の様に分かれています。
遺言の効力としてはすべて同じですが、有効にするための方式がすべて異なっています。
この中で検認が必要な遺言は公正証書遺言以外すべてですが、相続法改正で新たに施行された「法務局における自筆証書遺言の保管等」を申請した場合は、自筆証書遺言でも検認作業が不要になります。
すべての内容を説明するのは、今回の記事ではできませんが、遺言を書くと言っても上記の様に様々な方式があることを覚えて下さい。
また公正証書遺言以外の方式で作成した場合は、検認手続きが必要なことを理解していただければと思います。
検認手続きとは?
検認手続きの内容に入っていきます。
既に説明した通り、公正証書遺言以外はすべて検認手続きが必要になります。
具体的にはどのような手続きなのかを説明します。
「遺言書を発見した相続人又は遺言書の保管者は遺言書の死亡後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければならない。」とされています。
どういうことかというと、検認は遺言書の状態を保全することが目的となります。
相続人に遺言書の存在を知らせること、検認の日の遺言書の状態を裁判所で確認して、遺言書の内容などを明確にすることで、遺言書の偽造等を防ぐことです。
実際には遺言書の内容に沿って、相続手続きを行うわけですが、公正証書以外の遺言の場合、検認手続きを経ていない遺言書は、金融機関でも相続登記でも使用することができません。
特に自筆証書遺言の場合は、手書きで書かれているわけですから、自分が不利になるような遺言書があった場合、誰にも見つからないうちに、遺言書の内容を偽造したりする可能性があるわけです。
その為、相続手続きでは家庭裁判所の検認手続きを経ていない遺言者は、使用することができないわけです。
検認手続きの方法
遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てします。
費用は遺言書1通につき、800円です。大きな金額ではありません。
また相続人への連絡用に一定の郵便切手が必要になりますが、これは各裁判所で調べる必要があります。
検認を申し立てるのは、遺言書の保管者か遺言書を発見した相続人です。
必要書類は下記になります。
・申立書
・遺言者の出生から死亡までの連続したすべての戸籍
・相続人全員の戸籍
上記に加えて相続人が子供なのか、親なのか、兄弟姉妹になるのかによって、必要な戸籍が追加で必要になります。
必要書類を提出して、検認手続きを申し立てると、一定の期間を経て、家庭裁判所から申立人と各相続人に検認日の日程のお知らせが届きます。
この日付が検認日になります。
裁判所の混雑具合により2週間から2カ月後ぐらいの日時が通知されることもあります。
申立人以外の相続人は検認期日に出席するかどうか自由です。検認の効果には問題ありません。
当日に遺言書を持って申立人、相続人の前で、遺言書開封して、遺言書を検認します。
検認が終わると家庭裁判所より遺言書に検認済証明書がつきますので、これを使って、遺言内容の実現をすることになります。
銀行口座の解約や相続登記などを行えるようになります。
以上が遺言書の検認手続きになります。
どうでしょうか?
結構面倒な手続きが必要になりますので、検認手続きの必要のない公正証書遺言を専門家は、お勧めすることになるのです。
検認時の注意点
検認は遺言書の有効、無効など内容を確認するものではありません。
仮に日付が入ってないなど、無効事由があったとしても検認は行われます。
検認が行われたからと言って、遺言内容を実現できるかは、違う問題ですので、注意が必要です。
まとめ
・公正証書以外の遺言が家庭裁判所での検認手続きが必要(例外:自筆証書遺言の法務局保管)
・戸籍を集めたり、決められた日に家庭裁判所に行ったりと、結構面倒な手続きです。
・検認したからといって、遺言書が有効になるわけではない。
公正証書以外の遺言を作成する際は、今回の記事の内容の様を相続人がすることになりますので、この点を踏まえた上で、遺言書作成をしていただければと思います。