今回は相続手続きの中でも少し面倒な証券会社での相続手続きを説明していきます。
銀行や信用金庫と同じ金融機関でも、証券会社の相続手続きは少し違ってきます。
基本ラインは同じですが、違いのところも含め解説したいと思います。
証券会社での相続手続き
どこの金融機関でも同じですが、口座の名義人が死亡して、そのことを金融機関に伝えるとその口座は凍結されます。
凍結とはお金を引き出したり、新たに口座に入金したりが出来なくなります。
証券会社も同じで、預けている株式や投資信託などの売買などが出来なくなります。
これを解除するには、一定の手続きを踏まないといけません。
手続きに必要な基本書類
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(法定相続証明情報で代用可能)
・相続人の戸籍
・遺産分割協議書(相続人の印鑑証明書付き)
以上が遺言書などがない場合の必要書類になります。
詳しく説明していきます。
まずは被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍は、被相続人が死亡した事と、被相続人の相続人が誰なのかを証明するために必要な書類です。
出生から死亡まで遡ることで、子供が何人いるか、養子縁組はしているかなどを確認することができます。
また子どもがいない場合の相続だと、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍も必要になります。
これは兄弟姉妹が相続人になる場合に、被相続人以外の兄弟姉妹が何人いるのかを証明するためのものです。
この場合の戸籍の数はかなり大量になり、収集するのに、時間と費用がかかります。
次に相続人の戸籍です。
これは相続人となる人が現在も生存していることを確認します。
相続人になる人が、被相続人より先に死亡している場合などは、その子供が相続人になるケースもありますので、そういったことがないかを相続人の現在戸籍で証明します。
遺産分割協議書は相続人全員で協議した内容を証明するものです。
誰が口座を相続するのか、または口座内のお金をどのように分割するのかを確認します。
他にも各金融機関によって、細かい書類が必要になる場合があります。
銀行と証券会社の違い
銀行の場合は上記の書類が揃い、誰がいくら相続するのかが確定すれば、相続人の口座に被相続人の口座内の資金を振り込んで、相続手続きが完了します。
証券会社の場合はどうでしょう?
証券会社の口座の場合は通常被相続人が取引をしていた株式などが、預けられています。
例えば○○株式会社の株式1000株、株式会社○○の株100株といった具合に、現金ではなく、株式が入っています。
ご存知の様に株式の価格は日々変動しています。
売買のタイミングによっては、大きな儲け、または損失が出たりします。
被相続人は取引中であった訳です。
上記にも書いたように、被相続人の口座は凍結されていますので、相続人であってもこの状態で売買の指示出すことはできません。
また仮に株式をそのまま引き継ぐにしても、相続人が証券会社に口座がないと、株式をそのまま引き継ぐことができません。
そこで証券会社の場合は、遺産分割協議で相続することになった人名義の証券口座が必要になります。
これが銀行等との大きな違いです。
銀行の場合
被相続人名義の口座⇒相続人の口座へ直接振込可能
証券会社の場合
被相続人名義の口座⇒相続人の証券口座⇒売却後の資金が相続人の口座へ
もしくは相続人の証券口座で株式を売却せずに、取引を継続という流れになります。
上記の様に、売却するにしろ、取引を継続するにせよ相続人の証券口座を作らないといけない所が、一つ作業が増えることになります。
もちろん、元々証券口座を持っている人は問題ないですが、そうではない場合、ただ株式を売却したい場合でも、相続人の口座に株式を移した後に、相続人から売却等の指示を出して、換金することになります。
細かい手続きは色々ありますが、基本のルールとしては、上記の様になります。
まとめ
・証券会社の相続手続きの場合は、他金融機関と違い手続きのステップが一つ増える
・その結果、相続手続きが他の金融機関より時間のかかることが多い
最後になりますが、今回の例は遺言書等がない場合です。
ただ遺言書があったとしても、相続人名義の証券口座を作って手続きすることは変わりありませんので、ご注意ください。