相続で気をつけるべき事例①~相続人の中に障害がある人がいるケース~

相続では個別性が高く、さまざまな問題が生じるケースがあります。
今回は相続人の中に障害がある方がいるケースについて解説します。

障害がある方がいる場合の懸念点

障害がある方が相続人となる場合、どのような懸念点が考えられるのでしょうか。具体的に確認していきましょう。

手続きが難しいケースがある

遺産相続は複雑な制度を理解して、さまざまな制度を同時進行で行う必要があります。
障害のある方が手続きを進めることが難しいケースもありますので早めから着手し、税理士などに依頼する必要が出るケースもあるでしょう。

配分でも配慮が必要なケースがある

障害のある方は医療費や療養費が多くかなるケースも多く、財産のうち多くを遺すと言う方も多いでしょう。
結果として他の相続人に遺す財産が少なくなってしまうケースもあります。他の相続人の理解を得られればよいですが、必ずしも理解が得られるというわけではありません。
障害を持つこどもに財産を多く遺したいと考えている場合、遺言書を作成しておくと良いでしょう。また、しっかりとした遺言を作成するために、公正証書の遺言を作成しておくことと、執行者を指定しておくことが必要です。
執行者とは遺言を実現するための手続きを担う人のことです。執行者には相続人を指定することもできますし、税理士や司法書士など専門家に依頼することも可能です。専門家に依頼する場合は費用がかかりますので、見積もりを依頼してから公正証書に記載するようにしましょう。

障害を持つ方が利用できる特例

障害を持つ方が相続や贈与で財産を受ける場合、負担を軽減できる特例があります。相続・贈与の特例について解説します。

障害者控除

障害者控除は財産を相続した相続人に障害がある場合に税負担を和らげるために設けられている特例です。

控除額は以下の通りです。

一般障害者の場合:(85歳-相続開始時の年齢)×10万円

特別障害者の場合:(85歳-相続開始時の年齢)×20万円

特定贈与

特定障害者に贈与をする場合、一定額まで非課税になります。障害者の生活を守るために設けられている制度です。
贈与をする際は信託銀行などで契約し、信託受益権を年金形式で受け取る形となります。
非課税となる金額は以下の通りです。

一般障害者の場合:3,000万円
特別障害者の場合:6,000万円

年金受給権を贈与できるため、障害がある方の長期的な生活を安定させることができることができ相続税対策としても有効な手段です。