相続について考える際に注意するべきことは数多くあります。今回は相続財産の大半を不動産が占めるケースの注意点について解説します。
配分に苦慮する可能性が高い
財産の大半を金融資産が占める場合、分け方は比較的簡単にできることが多いです。
金融資産であればきれいに等分にわけることもできますし、7:3や6:4など、ある程度差をつけることも簡単です。
一方で、不動産が財産の大半を占める場合、分け方が難しくなるケースが多いです。例えば複数の不動産を保有している場合、それぞれの価値が異なるため、平等に分けることは難しいでしょう。
自宅など一つの不動産の価値が高い場合も、不動産を一人が相続した時点で平等に相続することができないこともあります。
このようなケースでは、共有で相続することを検討する方も多いでしょう。しかし、共有にはデメリットも大きいため、慎重に検討する必要があります。
不動産の共有をすると、権利を持つ人全員が合意をしないと、売却や建物の建て替えなどの重要な意思決定ができなくなります。
共有する人が多ければ多いほど意思決定をすることが難しくなってしまいます。
また、兄弟姉妹で共有をしていても、更なる相続が発生するといとこ同士になり、関係も疎遠になります。共有する者が多くなればなるほど、意思決定が難しくなりますし、共有する者同士が疎遠になればなるほど難しくなります。
納税資金不足に陥る可能性がある
相続税は原則10ヶ月以内に現金で一括納付する必要があります。不動産が相続財産の大半占める場合、相続する現金よりも支払う相続税の方が多くなる納税資金不足になる可能性があります。納税資金不足に対応するためには以下の方法があります。
相続人が現金を貯めておく
相続人が自分で働いたお金や贈与を受けた資金を現金で貯めておくことで、納税資金不足が発生しても手持ち資金で払うことができます。
延納・物納を選択する
延納は相続税の支払い期限を延長してもらう方法です。支払いを猶予してもらうことができますが、利子税を支払う必要があります。物納は不動産で税金を納める方法です。
事前に不動産を売却する
事前に不動産を売却し現金化する方法です。被相続人の財産を不動産から現金に変えておくことで、相続税の支払いをすることが可能です。
金融機関から借入をして支払う
価値のある不動産であれば、不動産を担保にし、金融機関から借入をすることができます。利子や契約時の諸費用を金融機関に支払う必要があります。