限定承認の手続き方法

前回に引き続き限定承認について解説します。今回は限定承認の手続き方法についてみていきましょう。

限定承認の手続きの流れ

限定承認の手続きの流れを解説していきます。

3ヶ月以内に家庭裁判所に限定承認の申し立てを行う

限定承認を希望する場合は家庭裁判所に限定承認の申し立てを行う必要があります。家庭裁判所には被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて提出する必要があります。戸籍を集めるのに時間がかかる場合もありますので、早めに集め始めましょう。

また、限定承認は相続人全員で行う必要がありますので、相続人が複数いる場合は話し合いが必要となります。相続発生から3ヶ月と非常に短い期間で申請を行う必要があります。相続発生後は葬儀や年金や電気・ガス・水道などライフラインの手続きをする必要もあり忙しいため、3ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。限定承認をする可能性がある場合は早めに準備をするようにしましょう。

請求申出の公告

限定承認は債務を整理することになるため、債務の額や誰に債務があるのかを確定させる必要があります。債務の確定するために行うのが請求申出の公告です。公告を2ヶ月間に申し出があった債権者に相続した財産の範囲で弁済を行います。

公告は限定承認の申し立てが家庭裁判所に受理されてから5日以内に行う必要があります。

相続財産の換金

限定承認の手続きを進めるために、被相続人の銀行などに預けているお金や不動産を換金していく必要があります。相続人は限定承認の審判所を用いて、銀行などの預金を解約し、財産管理口座に入金していきます。自分の口座に一時的にも入れることはできませんので注意しましょう。

不動産は競売をして現金化します。不動産を競売にかけ、落札された場合、その不動産を引き渡す必要がありますので、自宅であったとしても出ていく必要がありますので注意しましょう。

弁済と残余財産の処理

預金や不動産の換金手続きが完了したら、債務の弁済を行います。債務の弁済が完了した後、手元に残る財産を相続することができます。相続人が複数いる場合は相続人間で協議して財産をわけることになります。

限定承認は早めに手続きが必要

ここまで解説してきた通り、限定承認は複雑な制度で使われることは少ない制度です。

また、期限が短いうえにさまざまな工程があるため、早めに準備を進める必要があります。特に相続人が複数いる場合は全員の合意が必要となるため注意が必要です。