相続が発生すると銀行からお金を降ろせない?

相続が発生すると、亡くなられた方の銀行口座からお金を降ろせなくなること知っていますか?

家族である妻や子供が、亡くなったお父さんの通帳と印鑑を持って銀行に行っても、その場ですぐに解約はできません。

銀行口座の凍結と言われています。

今回は銀行口座の凍結について、説明していきます。

銀行口座の凍結

私の妻の祖父が亡くなった時のことです。

その時行政書士として、もうすでに実務をしていましたので、祖父の相続手続きは私がやるつもりでした。

そうは言っても身内が死亡すると、感情的に辛いのはもちろんですが、次から次へとやる事が出てきます。

葬儀の準備、打ち合わせ、葬儀の支払い、役所関係への届け出、親族等への連絡。

その間にも色々お金が必要になります。

親族が集まってきますので、食事の準備や、宿の手配などですね。

相続手続きは私がやるとしても、お金の準備などは、義父や祖母が動いていました。

遺産分割が終了する前に、特定の相続人が亡くなった方の銀行口座のお金を降ろすのは良い事ではありません。

そうは言っても色々現金が必要になるので、義父は何度かATMで降ろしていたようです。

葬儀費用を支払う段階になって、まとまったお金が必要になったので、ATMで降ろそうとすると、限度額を超えていたので、降ろせなかったそうです。

ATMは一日の利用限度額決まっているのですよね。

それで銀行の窓口で、「父の葬儀の支払いでお金が必要だから、口座のお金を降ろしたい」と伝えた所・・。

銀行口座が凍結されました。

結局必要な費用は降ろせず、親族でみんなで立て替えて支払う事になりました。

銀行口座はその銀行の職員等が、口座名義人の死亡を知ると、凍結されて、その後は相続手続きが終わるまで、お金を降ろせなくなります。

銀行の職員が知る方法は様々で、相続人からの申し出や、地元の名士などが亡くなったりするとになると、銀行職員も自然と耳に入る様で、その時点で凍結されることもあるそうです。

銀行により、色々規約があるので、一概にどの時点で凍結する決まりになってるか正確な所は分かりませんが、相続人が申し出た時点で凍結されるのは間違いないと思います。

銀行口座凍結の解除

では凍結された後、どうすれば亡くなられた方の銀行口座からお金を引き出せるのか?

相続人を確定するための、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍、相続人の現在戸籍、相続人全員の署名、実印での押印、印鑑証明書、銀行所定の用紙もしくは遺産分割協議書を提出することで、解約が可能になります。

早くても2週間から1カ月ぐらいかかるのが通常です。

公正証書遺言などがあると、口座名義人の死亡の記載のある戸籍と遺言書があれば、口座の解約はすぐにできる可能性があります。

可能性と言ったのは、各金融機関によって、手続きのやり方に違いがあって、遺言書があるのに、相続人全員の署名、押印を求めてきたりすることもあります。

厳密には必要ではないはずですが、担当者によっては、頑なに書類を求めてくる場合もあります。

それをここで愚痴っても仕方ないので、ここまでにしておきます。

どちらにせよ、遺言書があるか、もしくは相続人全員で遺産分割をするまでは、凍結された口座からはお金が降ろせないことになっています。

法律改正~預貯金の払戻し制度

上記までに記載した事が、今までの実務の取り扱いだったのですが、2019年7月より法律が改正されて、最大150万円まで遺産分割協議成立前に、預貯金の引き出しができる様になりました。

葬儀の支払いや当面の生活費など、緊急で必要になる費用の仮払いが認められて制度です。

妻の祖父の例で書いたようなことが、頻繁に起きていたので、今回改正されたようです。

ただ、無条件で仮払いが出来るのでなく、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の現在戸籍、払い戻しを希望する相続人の印鑑証明書などが必要になるそうです。

私もまだ実務で使用したことがないので、分からないのですが、必要書類だけみると、通常の遺産分割協議をする時と変わらない感じがしています。

細かい制度の仕組みなども、こちらのブログでも今後説明していきたいと思います。

なんにせよ、銀行口座の名義人が死亡すると、預貯金が降ろせなくなる事実は、皆さん知っておいてください。

最後に今回は死亡の際の凍結について、説明しましたが、口座の名義人が認知症等になってしまった場合も、口座凍結されることがありますので、ご注意下さい。

相続対策だけでなく、認知症対策もこれからは必要になってきます。