遺言書でできること、できないこと

遺言書?相続対策?

「うちにはお金ないから、対策なんて必要ない」

「家族みんな仲が良いから大丈夫」

「まだまだ元気だし、死ぬのはまだ先だよ」

相続対策や終活について、上記の様に思ってる人が多いのではないでしょうか?

今回の記事では相続対策の柱である遺言書について、説明していきます。

遺言とは?

遺言は、遺言者の最終意思に法的効果を与える制度です。

遺言は法律に定める方式に従わないと、することができません。

15歳以上で、意思能力があれば誰でもすることができます。

そして遺言は、遺言者の死亡時にその効力が発生します。

遺言でできる事は?

遺産分割方法の指定およびその指定方法の委託

相続分の指定およびその指定方法の委託

遺言執行者の指定およびその指定方法の委託

財産の処分

・遺産分割の禁止

・未成年後見人の指定

・未成年後見監督人の指定

・共同相続人の担保責任の定め

・遺贈の減殺方法の指定

・認知

他にも何個かあるのですが、主なものを記載しました。

少し聞きなれない言葉で分かりづらいかもしれません。

重要なのは、太字で指定した4つです。

簡単に言うと、財産を自分が死んだ後に、どのように分けるのか?を指定して、それを実行に移す人(遺言執行者)を決めることになります。

自宅の不動産は妻に、○○銀行の預貯金は長男へ、○○証券の株式は長女へといった具合です。

大事なことは、すべての財産について、行き先を決めることです。

その結果、相続人間での話し合いである遺産分割協議が不要になり、相続人間での争いをなくすことができます。

遺言でできない事は?

・道徳的な指示

・葬式の指示

・身分行為(離婚、離縁など)

こちらも分かりづらいかもしれません。

道徳的に指示とは、「残された家族で仲良く暮らして、みんなで助け合って生活して欲しい」など、具体的な効果が分かりづらいものは、ただのお願いでしかありません。

また葬式はこうして欲しいなどは、家族がそれに反した葬式をしたとしても、問題ありません。

つまり、あくまでお願いでしかないもので、法的な効果を発生させて、強制させることはできません。

遺言書を書いた方が良い人

私の今までの経験から、遺言書を書いた方が良いという人は、相続人が一人しかいない人以外全員です。

相続人が一人とは、配偶者がいなくて、子供が一人だけの様な家族構成の方です。

この場合は、何もしなくても、すべての財産はその子供が相続しますので、特に財産の指示などが不要になるからです。

それ以外の家族構成の場合は、すべての人が遺言を書くべきだと思います。

私の家族の場合

自分の例で恐縮ですが、私には妻と子供がいますので、遺言書は書いてあります。

内容は妻にすべての財産を相続させるという内容です。

息子はまだ幼いので、もし今何かあったとしても、妻が管理することになるので、すべてを妻に相続させる内容にしています。

仮に私が遺言書を書いてなかったらどうなるか?

妻と幼い息子が相続人になります。

息子は未成年なので、遺産分割協議ができません。

そうすると私の銀行口座を解約するのに、家庭裁判所に息子の特別代理人を選任する申立てをしないといけません。

妻と息子は遺産分割する上では、利害が対立することになるので、妻が子供の代理ができないのです。

その為、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらい、遺産分割をすることになります。

ものすごく面倒じゃないですか?

自分が死んだ後、銀行口座からお金を引き出すにも、家庭裁判所に申立てをして、特別代理人を選任してもらい、その代理人と妻で遺産分割協議をして、その書類を銀行に提出して、やっと口座が解約できるようになるのです。

こんなこと家族にして欲しいですか?

私はして欲しくないので、子供が未成年の内は、妻にすべてを相続してもらおうと考えています。

遺言書があることで、妻は遺言書を持って銀行に行けば、口座の解約が可能になります。

別に私は不治の病になってるわけでもないですし、資産が沢山あるわけでもありません。

でも明日自分が絶対生きている保証はないですよね?

これはすべての人がそうだと思います。

まとめ

遺言書は大切な人へのラブレターです。

遺言書を作るには、法律的な知識や、時間、お金は多少かかりますが、大切な家族ためだと思えば、必ず行動できます。

このブログを通じて、一人でも多くの人が相続対策の大切さに気づいてもらえればと思いますので、微力ながら相続に関する知識を発信していきます。