清算型遺言を知っていますか??

 

遺言を作成していく中で、通常は「不動産はAへ、預貯金はBへ」など遺産の分配を誰に何を譲り渡すかという点で考えることが多いと思います。

 

しかし、遺産の中には有価証券や投資信託などの金融商品などもあります。株などの有価証券などの分配手続きには証券会社を通じて行いますが、証券会社との取引に慣れていれば大丈夫でしょうが、慣れていなければ面倒に感じることもあるでしょう。

 

また、不動産については特定の相続人に相続させるとなると不公平感を持つ結果となる可能性が高くなりますし、かといって共有としてしまうとのちの処分にも困ってしまうことも考えられます。

 

後に禍根を残さない、そして亡くなった後の最後の「断捨離」として、最適な遺言の書き方があります。

 

それはいわゆる清算型遺言という形式です。

 

「清算型遺言」とは

 

清算型遺言は通常通り自筆なら自筆で、公正証書なら公正証書で遺言を作成することはかわりません

 

ただ、遺産の分配については清算条項をいれます。

 

具体的には「遺言者の有する財産をすべて換価し、その換価金から遺言者の一切の債務を弁済した残金を、次のとおり分配するよう遺産分割の方法を指定する。」などの文言をいれまうす。

 

つまり、すべてお金に換えて現金で相続人間で分配しましょうということです。

 

このような遺言を作成するのは亡くなられた方に債務がありそれを弁済しなければならない時が主流でした。

 

しかし、現代の「誰にも迷惑をかけたくない」「相続人に禍根を残したくない」「面倒な手続きを相続人にさせたくない」などの風潮にもマッチしていると思います。

 

遺言執行者の選任を

 

清算型遺言を作成する場合には遺言執行者を選任していたほうがより手続きはスムーズにいきます。

 

遺言執行者とは遺言の内容に沿って遺産の分配を行っていく、相続人の代理人です。

 

遺言執行者は遺言中で定めておくことが可能です。

 

遺言執行者が選任されていたら、相続人は手間を取られることなく、不動産や証券の売却から分配まですべてを行ってもらえます。

 

不動産の名義を変える登記手続きにしてもすべて遺言執行者が相続人の代理人として行うことができますので、面倒な登記、売買契約などの手続きに相続人が参加する必要もありません。

 

残った相続人に面倒をかけたくないというのであれば専門家を遺言執行者として選任しておいたほうがベターだと思います。

 

今回は清算型遺言について解説しました。

預貯金など異なり、株などの有価証券や不動産などについて相続人は意外と処分に困るものです。

 

すべてを売却してお金にかえてわけください。その思いを遺言に盛り込むことで相続人も安心するのではないでしょうか。