今回はペット信託について、概略を説明していきます。
昨今ペットを飼っている方は、とても増えてきていて、一大産業になっています。
ペットは家族の一員として、ペットの為のサービスも様々な場所で、目にするようになりました。
ペットブームになっている中、逆にペットへの虐待や、ペットの飼育拒否などが問題になってきています。
そんな中、最近注目されてきているのが、ペット信託という新しい仕組みです。
それではペット信託について説明してきます。
ペット信託について
信託という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
身近な例だと「投資信託」などは聞いたことがあると思います。
信託とは「信じて託す」という意味です。
投資信託の場合は、自分の資金を投資のプロを信じて託すという意味です。
これは分かりやすいと思います。
それではペット信託とはどのような仕組みでしょうか?
自分の飼っているペットを信じて託すという意味になります。
例えば、年を取ってからペットを飼い始めたけれど、今度老人ホームに入ることになってしまった。
老人ホームにはペットを連れていくことはできません。
そんな時に、飼育にかかる費用と、ペットを信頼できる人へ託すことです。
もし自分に何かあっても、ペットの世話をしてくれる人がいれば、安心できます。
そのような仕組みがペット信託です。
ペット信託の課題
ペットを見てくれると言っても、本当にペットをしっかりと世話にしてくれるかどうか分かりません。
お金だけ預かって、ペットを売り飛ばしたりする人もいるかもしれません。
ペットの性格や嗜好をしっかり伝えていたはずなのに、指示通り守ってくれるかは分かりません。
そこで信託契約書では、ペットを預かる人には重大な義務が発生します。
契約書通りの世話をしないと、飼い主から預かったお金を使用することが出来ないのです。
近所に住んでいるペット好きの人に預けても、最初の話通り、約束を守ってくれる保証はありませんが、ペット信託では信託会社など金融機関を使って、お金だけを不正に利用したりすることができないようにしています。
そうは言っても、信託会社などが、実際に契約が守られているかを、チェックできるわけではありません。
仮に医療費に使ったと言われて、お金を支払ったとしても、実際には違うペットの治療費かもしれません。
この様に投資信託などのように、価格の上下が客観的に分かるようなものではなく、生き物を預かるシステムなので、どうしても心配な点は出てきます。
最後はペットを見守ってくれる人がどのような人(もしくは法人など)なのか、信頼に値する人なのかという所が重要になってきます。
飼い主が安心して、信頼して預けることが出来るかという問題です。
ペット信託の今後
この信託の仕組みは委託者兼受益者(飼い主)、受託者(お金を預かる信託会社、またはペットの面倒をみる施設など)との契約で成り立ちます。
上記に記載した内容はあくまで一例であり、今は受託者(信託会社、保険会社など)、受益者(NPO法人等ペットの世話をする施設)など、様々な形の仕組みが作られてきています。
最近になって動き出したシステムなので、これらの仕組みがどれくらい機能していて、今後どうなっていくかは見守っていく必要はあると思います。
飼い主様の希望はただ一つ。
自分に何かあっても、ペットが幸せでいて欲しいということだと思います。
引き取る人がいなくて、保健所に連れていかれて殺処分になってしまう。
お金を預けたけど、ペットだけ売り飛ばされてしまう。
そんな事のない様に、しっかりペットの世話をできる施設、そして飼い主のお金が、ちゃんとペットの為に使われ、その上で世話をする施設や人が、一定の報酬を貰え、経営がしっかりできる様な仕組みづくりが重要だと思います。
ペット信託に興味のある方は、色々調べたり、専門家の話をしっかり聞いて、後悔のない選択をして下さい。
できるだけ早く、安心安全なペット信託の仕組みができあがる様に、行政書士として微力ながら協力していきたいと思っています。