法定相続証明制度の利用の仕方

今回は法定相続証明制度について、説明していきます。

あまり聞きなれない言葉かなと思います。士業の方でも利用されたことのない方も多いかなと感じています。

法定相続情報一覧図とも呼ばれています。

私の場合は制度が始まった当初に、利用させてもらって、案外便利かもと感じましたので、利用の仕方などをお伝えできればなと思います。

法定相続証明情報制度とは

相続が発生した際の相続関係を一覧にした登記官の認証文入りの書面になります。

戸籍を使って調べた法定相続関係を、法務局で認証してくれているので、相続手続きにおいて、戸籍の束の代わりに使用することが可能な公的な書面です。

 

ある人が亡くなった際に、その人の相続人が誰なのかを調べる作業は、結構骨の折れる作業になります。

被相続人(死亡した人)の出生から死亡までの戸籍を全部取得するので、被相続人の年齢や相続関係にもよりますが、戸籍が20通、30通になることも多々あります。

戸籍は無料ではありませんし、一か所の役所で全部揃うことが稀なので、費用と時間が結構かかります。

その集めた戸籍を銀行口座の解約や不動産の名義変更に使うのですが、どの手続きでも戸籍の原本が必要になります。

 

例えば被相続人の相続財産の内、金融機関が3行あり、不動産も所有してたとします。

相続手続きの際には、戸籍の束を1つめの銀行に提出し、返却してもらい、次の銀行にも再度戸籍の束を提出し、返してもらい、また次の銀行に提出するといった、手続きが必要になります。

それがこの法定相続情報一覧図を法務局に申請し、発行してもらうと、各銀行に1枚法定相続一覧図を提出することで、戸籍の束を提出する必要がなくなります。

 

これは実務をやってると、本当に楽だなと感じます。

もちろん遺産分割協議書や印鑑証明書なども、原本が必要なので、どちらにせよ大変な作業には変わらないのですが、何十通もある戸籍の束を持ちは込んだり、郵送したりするよりは、すっきりシンプルに手続きが可能になります。

相続手続きが同時に進められるようになるのが、これまでとは一番変わったところです。

法定相続情報一覧図の発行の方法

法務局に申請します。ただ法務局が戸籍を集めてくれるわけではなく、相続人で一度戸籍を全部集める必要があります。

揃ったところで他の必要書類と共に法務局に提出すると、数日で法定相続情報一覧図を発行してくれます。

何枚発行してもらっても無料です。

費用的にもとても親切な制度になっています。

法定相続情報一覧図の必要書類と申請先

申請先

・管轄登記所

1.被相続人の本籍地
2.被相続人の最後の住所地
3.申出人(申請する人)の住所地
4.被相続人名義の不動産の所在地

上記の4つの地の中から選択して申請します。

・必要書類

1.被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
2.被相続人の住民票の除票
3.相続人の戸籍謄抄本
4.申出人の氏名、住所を確認することができる公的書類(運転免許証等)
5.その他(委任状など)

5のその他は、申出人が第三者に依頼する場合の委任状や、法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合に、相続人の住民票などが必要となります。

第三者に依頼と言っても、申出人の親族か士業等の資格者代理人にしか依頼はできません。

弁護士や司法書士、行政書士などです。

 

以上の申請をすることで、法定相続情報一覧図を発行してもらえます。

そして何度も書いてしまいますが、何通でも無料です。

 

法定相続情報一覧図を使用する際の注意点

銀行や相続登記に使う資料は原本が必要になります。今回説明した法定相続証明情報以外にも、遺産分割協議書や印鑑証明書が必要になります。

一番のメリットである相続手続きの同時進行についてですが、遺産分割協議書等を何通も作らないといけなかったり、印鑑証明書も複数枚必要なので、それを勘違いしてしまうと、同時進行できませんので、注意が必要です。

戸籍は何通にもなりますので、持ち歩く手間や、郵送で送る際の料金などの面を考えても、十分にメリットがあるかなと思います。

まとめ

法定相続情報一覧図は、相続手続きする上では、かなり利用価値があるものです。

言葉だけ聞くと難しいそうですが、実際に利用すると色々な面でのメリットを感じてもらえる制度だと思います。

相続手続きをしたことのない人には、なかなかイメージしづらいかもしれませんが、実際に相続手続を実務で行っている身からしても、利用価値がある制度ですので、もしご自身で相続手続き等をする際には、是非利用してみて下さい。