日本公証人連合会が公表している情報によると平成26年以降には年間10万件以上の公正証書遺言が作成されているようです。
自筆証書遺言の作成数についてはわからないものの、家庭裁判所での遺言書の検認数の推移では平成28年には17,205件の検認事件が行われました。
このように終活という言葉の認知度の上昇により遺言を作成しておこうという人たちが増加しているといえるでしょう。
ただ、遺言の作成に私たちがたずさわったのち、ご相談を受けることがよくあります。
それは「どこに保管していたらいいでしょうか?」、あるいは「家族に伝えたほうがいいか?」というご質問です。
今回は遺言を作成した後のご相談についてお話します。
どこに保管すべきか
実際のところ、遺言を保管する場所はどこでもいいといえばいい問題です。
ただ、亡くなった後、のこされた家族が発見できるところに置いておくほうが確実に発見され、遺言が発見されないというリスクを軽減することはできます。
公正証書遺言で作成した場合などでは依頼した弁護士や司法書士、行政書士などに謄本を渡しておいてもいいでしょう。
銀行などの貸金庫はできれば避けておいた方がいいと考えます。
というのも、貸金庫は生前では代理人でもあけることはできますが、亡くなって死亡した後は代理人でも開けることはできなくなり、相続人全員の同意が必要となります。
遺言の中で貸金庫を開けることができる人を記載することも可能ですが、その肝心な遺言が貸金庫の中にあるならば結局相続人全員の同意が必要となることになってしまいます。
不動産の権利証や銀行の通帳などと一緒に保管していればいいでしょう。中には仏壇の中などにもしまわれていらっしゃる方もいます。
家族に遺言の存在をいうべきか
私どもに相談に来られる方は家族に黙ってというより、家族と一緒に来られる方が多いのですが、中には家族に黙って作成される方もいらっしゃいます。
その際に家族に伝えたほうがいいのかどうかご相談を受けることがあります。
私どもとしては内容を言うまではなくとも作成したこと、保管場所などについてはいずれかのタイミングで家族にお伝えしたほうがよいと考えています。
上記の通り、遺言作成のご依頼を受けた場合、同時に遺言執行者になったり、遺言の保管をしたりするケースもありますが、遺言者が亡くなられた後、ご連絡が家族の方よりくるようにしておかなければせっかく遺言を作成しても意味がありません。
ですので、なるべくご家族の方にはお伝えしていただくようにお願いしています。
今回は遺言作成後、皆様によく聞かれる質問についてお話をしました。
遺言をせっかく作成したならその遺言を実現できるよう信頼できる人には遺言の存在、保管場所をお伝えするようにしてください。