例えば親が住んでいた実家。あるいは兄弟姉妹が住んでいた戸建てなどを相続するケースがあります。
兄弟間で相続した場合など相続人ご自身が住まわれることは実際まれだと思います。
しかし、大都市圏などの処分しやすい不動産であるならば相続するにしても価値がありますが、すべての皆様がそのような良質な物件を取得できるわけではありません。
地方にお住まいの物件を相続した場合、放ったらかしにしていたらどのようになるのでしょうか。
空き家の現状
現在、日本では人の住まない「空き家」が増加してきています。
総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、2018年の全国の空き家は約849万戸となっており、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は、13.6%を占めています。
つまり、10軒中1軒以上の割合で空き家が存在しているという計算になります。
そして、国土交通省の「平成26年空家実態調査 集計結果」を見ると、人が住まなくなった理由は「死亡した」が35.2%で1位となっているのと同時に、住宅(空き家)を取得した理由の1位が「相続した」の52.3%と、全体の半分以上を占めるという結果となっています。
空き家が増える理由
核家族化、少子高齢化が進む現在、実家のすぐ近くに家を構えることができる人のほうが少ないのではないでしょうか。そして、子は子で家を取得し、わざわざ実家に住もうと考えている人は昔ほど多くはありません。
親から相続した家に誰も住まない、遠方で管理を行うことも難しいというのであるならば、早々に売却や賃貸を視野に入れて行動しなければなりません。
しかしながら、現実問題として空き家が増え続けている理由は家や土地が売りにくい、買い手がつかない市場価値の問題と、やはり親の実家を処分することへの心理的な抵抗感があるからです。
残していてもいいことはない
現実問題として家は誰かに使ってもらっていなければどんどん傷んでいきます。
賃貸に出しても借りてもつかない。売ろうと思っても売ることができない。
そのような場合に放置をしていたとしても、固定資産税はかかります。庭の手入れもしなければなりません。暴風災害で隣家に迷惑をかけるかもしれません。
税金も義務も処分するまでずっとかかり続けることを覚悟しなければなりません。
市場の流通性がないのであるならば下手をするとお金を払ってまで誰かに買い取ってもらうということも考えられます。
不動産はどうしても思い入れが強いこともあり、ご自身では冷静に資産価値を把握することはできません。
次世代に遺産を残す親の世代も、親から受け継ぐ子の世代も、冷静に資産価値を把握し、負の遺産を後世に残すことがないように対策を練ることが必要です。