本人が亡くなった後の成年後見人の業務


 

成年後見制度がはじまって20年以上たち、世間一般にも少しずつ浸透してきたように思います。

成年後見制度とは認知症などで自身の財産を管理することができなくなった場合に家庭裁判所に成年後見人等の財産管理人を選んでもらい、以後財産の管理や身上看護を代わりに行ってもらう制度です。

例えば、不動産の売却をしたり、本人から通帳を預かり預貯金等の管理を成年後見人等が本人にかわって行ったり、介護サービスや施設の入所契約の締結なども成年後見人等が行います。

当初は親族が成年後見人等に選任されるケースも数多くありましたが現在では成年後見制度の申し立ての事件のうち3割程度が親族、3割程度が弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人等に選任されるようになっています。

成年後見人等の職務は本人が生きている間は継続して行われます。

成年後見業務の終了

成年後見人は上記の通り、認知症等で自己の財産を管理できなくなった人にかわり裁判所の監督のもと本人の財産を管理しますが、成年後見人の業務は本人の死亡により終了します。

しかし、成年後見人等は本人の死亡とともに何もしなくてよいわけではありません。

成年後見人は本人の死亡を家庭裁判所に報告し、成年後見人死亡時の財産目録などを作成し、相続人に財産を引き継ぐことをもって成年後見人の業務は終了します。

親族が成年後見人等であったとしてもその義務は免れません。

ですので、成年後見人等ご自身が相続人(例えば、お子様が父親の成年後見人であった場合など)であっても相続人全員に対して財産目録等をきちんと公表し、相続人代表者に通帳等を引き渡しその業務の終了を家庭裁判所に報告する必要があります。

葬儀費用

本人の死亡に伴い大きな問題になるものがご葬儀の費用です。

一般的にご葬儀の費用を亡くなった方の遺産から支払うということが慣習として行われていますが、実は大きな問題となる可能性があります。

基本的に葬儀に費用は喪主と葬儀会社や会館との契約ですので、ほかの相続人の同意なしに被相続人の遺産から支払うと後々ほかの相続人から請求される恐れがあります。

成年後見人等も親族から葬儀費用を預貯金から引き出してほしいと頼まれた場合、あるいはご自身が親族として引き出す際にはくれぐれもほかの相続人の方々にもご相談し、了承を得てから支払いを行うようにしてください。

私たち行政書士が成年後見人等に就任している場合は最終相続人の方に財産目録と合わせて通帳などの財産関係の書類を引き継ぎます。

加えて、のちの預貯金等の相続手続きも引き続き行わせていただくことも可能です。

ご相談ください。