数次相続っていったい何?どういう問題があるの?

 

ご自身からみて祖父母の相続手続きに、参加する場合があります。

 

一つは代襲相続の場合でもう一つが、数次相続の場合です。

これは亡くなった方の順番によって相続人がだれになるのかということで大きな問題となります。

まずは、この両者の違いから考えてみましょう。

 

代襲相続とは

代襲相続とは本来なら相続人であるはずの、子や兄弟姉妹がすでに死亡している場合に、すでに亡くなっている子の子(被相続人からみたら孫)や兄弟姉妹の子(被相続人から見たら甥や姪)が相続人になることです。

 

①令和3年1月1日に「A」が死亡

→「A」には配偶者「B」、と子の「甲」と「乙」がいた。

②「甲」は平成31年1月1日に死亡

→「甲」には妻「甲女」と子の「甲1」と「甲2」がいる。

 

この場合、Aの子である甲はAが死亡する前に亡くなっていましたので代襲相続となり、AのかわりにAの子「甲1」と「甲2」が相続人となります。

 

ですので、今回のAの死亡にともなう相続人は

①Aの妻「B」、②Aの子「乙」、③甲の子「甲1」、④甲の子「甲2」

の4人となります。

 

甲の妻である「甲女」は相続人にはなりません。

 

 

数次相続とは

では、次に数次相続について考えます。

 

数次相続とは被相続人がなくなって相続手続きが開始した後に相続人が亡くなった場合に発生します。

 

先ほどの親族関係をもとにして、亡くなった順番が異なるために相続人が異なることをみてみましょう。

 

①令和3年1月1日「A」が死亡

→「A」には配偶者「B」、と子の「甲」と「乙」がいた。

②「甲」は令和3年9月1日に死亡

→「甲」には妻「甲女」と子の「甲1」と「甲2」がいる。

 

代襲相続の時とかわったのは、②の甲の死亡年月日です。

代襲相続では甲はAより先に死亡していましたが、今回はAより後に亡くなっています。

 

では、今回のAの死亡にともなう相続人は誰になるのでしょうか。

Aの相続人は

①Aの妻「B」、②Aの子「乙」、③甲の子「甲1」、④甲の子「甲2」

そして、⑤甲の妻「甲女」となるのです。

 

亡くなった順番が異なると⑤甲の妻「甲女」も相続人となります。

 

これは「A」が死亡した時点では甲が生存していたため、一度「甲」が相続人として確定するためです。

そして、その後に「甲」が死亡したため、「甲」の相続人としての地位が「甲」の相続人である「甲女」、「甲1」、「甲2」に引き継がれるからです。

 

相続人が増えていく

このような数次相続は何年間も家の名義変更を怠った場合などによく問題となります。

 

たとえば、リフォームローンを借りて実家の改修をして住もうとしたとします。

実家の名義は当然亡くなった父親名義だと思ったらさらに上の祖父名義であったなどといったことが実は世間ではよくあります。

 

このような場合には祖父の代から相続人を捜索していくことが必要になり、その相続人が何人も死亡しているケースもあります。

 

総勢相続人が30名近くになるということもありますので、相続手続きがより困難となっていきます。

ですので、相続手続きはなるべく早く終えておくことをおすすめします。