ご存じですか?法定相続情報制度

法定相続情報という書面をご存じですか?

平成29年5月29日から,全国の登記所(法務局)において,各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まりました。

 

今までは法定相続人の特定に戸籍を法務局や銀行、証券会社などの金融機関の相続手続きに利用していました。

 

相続人が亡くなった方の配偶者と子くらいでしたら戸籍の収集はそこまで大変ではありません。

 

しかし、相続人が兄弟姉妹という形になってしまい、その兄弟姉妹もすでに亡くなっていて、亡くなられた方の甥姪が相続人なるというと相続人を特定するための戸籍も30枚を超える戸籍の束になったりします。

 

戸籍の収集や戸籍の読み込みも慣れていてもなかなか大変なものです。

 

また、亡くなられた方の残した遺産も預貯金が様々な銀行に預けられている場合など、各金融機関もそれぞれ戸籍の束を確認し、相続人を特定するという非常に厄介な作業に時間を割かれていました。

そこで、統一して「相続人はこの方々だけですよと、法務局が発行する書面」が法定相続情報という書面です。
 

具体的手続き

具体的には法定相続情報一覧図というものを作成し、それを特定するための戸籍の束と申請書を法務局に提出し、法務局が戸籍の束を確認します。

 

法務局が戸籍を確認して法定相続情報一覧図の通りであると判断すると、相続人は提出された法定相続情報一覧図の通りであると証明し、法定相続情報という書面を発行してもらえます。

 

各金融機関も法定相続人はこの方々だけということを法務局にお墨付きをいただいたようなものなので、それに則り手続きを進めることができて煩雑な戸籍の確認作業をしないで済むようになりました。

 

法定相続情報ができるまでは、相続人側も金融機関提出用などに複数枚の戸籍を集めることがありました。

 

一度戸籍を金融機関に提出すると1か月くらい帰ってこないというケースもあったので、複数の銀行手続きを並行して進めるためには同一戸籍を複数枚取得することが必要だったからです。

 

しかし、戸籍もそう安価なものでもありません。

通常の戸籍などでは1通450円ですが、法改正以前の古い戸籍や除籍などでは1通750円になり、これがかさなると戸籍の収集代もばかになりません。

 

また、遠方ですと郵送代もかかりますし、遠方の役所との電話でのやりとりなど戸籍の収集はなかなか慣れていない方には面倒なものです。

 

そして、作業に慣れるほど、ご自身が相続人になるケースというものは人生の中でそう頻繁にあるものではありません。

 

法定相続情報の費用

法定相続情報を法務局に申請するために費用はかかりません。

ただし、専門家に依頼した場合は別途費用がかかりますのでご相談ください。(

また、発行してもらうにも今のところ費用はかかりません。

 

法定相続人がだれであるか、不足している戸籍があれば指摘などを法務局がしてくれますので、安心だといえます。

 

法定相続情報の期限

法定相続情報は5年間は提出した法務局で保管されます。その間は何度でも再交付が可能です。

 

ただ、金融機関によっては、発行後6か月以内という制限がある場合もあるので、金融機関に確認される方がよろしいかと思います。

 

このように法定相続情報が発行されることで相続手続きはよりスムーズに行われるようになりました。

皆様も法定相続情報を利用してスムーズな相続手続きを実現させてください。