遺産分割の方法には
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
の3つがあることは前回お話ししました。
今回はその中でも②代償分割について、とくにどのような場合に使用すれば遺産分割協議をスムーズに行うことができるか。
代償分割とは
遺産を放棄する者に対して代償として自らの財産を渡すという遺産分割協議の手法です。
遺産を放棄するということは、まったく遺産を受け取らないということだけではなく、遺産を法定相続分より少なく受け取る場合も含みます。
こんな時は代償分割の検討を
代償分割が有効な時は、ある一人の相続人に多くの遺産を承継させる必要があるときなどです。
例えば、被相続人が事業をされていて、相続人である長男が事業を引き継ぐときなどです。
個人商店でされていらっしゃる場合など、相続人の財産と事業用の資産とが一緒に遺産としてみなされてしまいます。
その際に、事業用の資産まで遺産として組み込んでしまうと、事業を承継する長男が法定相続分以上に遺産の分配を受ける必要があるケースがあります。
ほかの子が納得してくれていれば問題はありませんが、そうでないケースでは、事業用の預金や不動産を取得するためには代償分割を検討する必要があります。
つまり、事業用の資産と事業を承継する長男が他の兄弟に長男自身の財産から代償としてお金や長男名義の不動産を分け与えることも考えられます。
遺産をもらえない相続人からしたら、もらえる財産が親の遺した遺産であろうと、長男の個人財産からであろうともらえる金額に過不足なければ争わないケースもあります。
代償分割の資金がない場合は
しかし、上記のような代償分割をするためには当然のことながら代償として支払う何らかの資産が必要になります。
その資産を事業と資産を承継する相続人(今回のケースでは長男)が保有することができていれば問題はありませんが、実際のところそのような資産を持っていないケースもあります。
ですので、事業を継続してもらいたいという思いがあるならば生前からの相続に対する準備が必要です。
例えば、事業を受け継ぐ長男を受取人とした生命保険に加入しておくことで、代償分割をするための原資にしてもらう。
あるいは、遺言を書いておく。
そしてなによりも、生前からきちんと事業を受け継ぐ子だけではなく、他の子も含めて話をして遺産の分け方に不満が出ないようにしておくことこそ一番重要です。
今回のように事業をされていらっしゃる方は特に、相続対策をきちんとしておくことが必要となります。
おひとりで悩まずに、ぜひともご相談ください。